Futurist

アメリカには変わった仕事がたくさんある。最近特に気になっていたのはNCAA Basketball Tournamentのトーナメント表をひたすら予測するBracketologistのJoe Lunardiさん。彼にとっては2月が稼ぎ時。テレビやラジオに引っ張りダコである。彼の仕事はひたすらバスケを見てどのチームがどのトーナメント・ブラケットに入るか解析している。単純にバスケだけを見ているだけではなく、主催側のNCAAの組み合わせのクセなども細かくみている。「俺でもBracketologistに成れる!」と意気込んでいる人をよく見るがけっこう大変な仕事なのだ。
 先日あるマーケッティング会社のFuturistの方と話す機会があった。日本語で言えば"未来学者"。ちょっとバッタくさい匂いで一杯だが、話してみると結構現実的。遠い未来の話をする訳ではなく、今後5年、この市場はどう変わるか?といった話を軸に、顧客にマーケッティング・プランを提案してくる。普通のマーケッターとあまり変わらないかもしれないが、彼はあくまで未来の市場にこだわり、会社に戻ればもっと長期的な市場を研究し、企業に与えるインパクトを描いているらしい。
 予測できる未来というのが昔の時間軸に比べて短くなっているというのは確かだ。事業戦略、マーケッティング、製品開発すべてにおいて、リードタイムが長いほど当初の案とブレが生じる。リードタイムを短くする話はよく聞くが、そのアプローチでもマーケットのニーズに合わせることが難しくなり、逆に的確に未来を予想する能力の重要性が昔より増してきているのかもしれない。西海岸であったエンジニアの方々もみな未来について熱く語っていた。
 自分も未来を語るのが好きなので、ハイテク関連のFuturistにはどのようになるのかちょっと話を聞いてみた。彼は社会学と考古学の学位を持っており、ハイテクに関しては仕事を通じて学んだという。しかし企業内のCheif Technologistも、ある意味Futuristである訳だから、社会学や心理学が絶対必要という訳でもないのであろう。最終的には言ったもの勝ちっぽい気がする。アカデミックなアプローチとしてはハワイ大学に未来学専門の学科もあったりして、複数の分野の未来について学ぶことができるらしい。
 ちょっと関連してまたGoogleの話になるのだが、GoogleのサービスがJavascriptやDHTMLで作られているという記事を読んだ。ウェブ開発言語・ツールはどんどん先を行ってしまい、これらの言語は大規模な開発では蚊帳の外状態になっていたのだが、Googleのサービスによってまた見直されはじめている。やはり現在何ができるかという視点をもって将来を見ることが大事なのであろう。