Cirque Du Soleil

今年の春にフロリダのディスニー・リゾートに行った時に、「キダムへ行こう!」のシルク・ドゥ・ソレイユのショーがやっていた。ありゃー、日本からこんなとこまで移動するなんて大変だなぁ。と思っていたのだけど、一昨日、秋休みのラスベガス旅行の計画を立てていたら、なんとラスベガスでは4つのシルク・ドゥ・ソレイユのショーがやっているとか。。おいおい、ボリジョイやら、ソレイユ?やらに帰らなくていいのかいって、あんたら何部隊いるんじゃ!ということでちょっと調べてみた。
 どうやらこのサーカス団、ただ者ではない。元はカナダのケベックの外れ街で1980年初頭に結成された21人のストリート・パフォーマンス集団(一世風靡みたいなもん?)で、ケベックの450周年記念におこなった、シルク・ドゥ・ソレイユ(太陽のサーカス)で大成功を収めたことが始まり。それを足がかりに、財政的にギリギリの資金でアメリカツアーを決行し、ラスベガスのタイクーンSteve Wynnに認められTreasure IslandでMystereをオープンした。その後は、年収5000Millionドルのサーカス団へと成長しちゃったわけです。(1つのショーで500Millionぐらいの年収。)
 彼らの立ち上げ時の成功要因は動物を使わないこと。サーカスのコストで動物が一番かさむんだとか。又、軌道にのった後は、根本となる創造性を第一に置いていること。ひとつひとつのプロダクションは3年かけて構成し、いわゆるBroadwayのように、同じショーを多展開しない。移動費だけでも、25Millionかかるらしく、ショーが失敗すれば3年分のコストが台無しになってしまう。また70%の利益を新しいプロダクションに向けているとか。創造性から来るブランドを維持しなければ長期的な成功を描けないというのが理念にあるらしい。本来子供が楽しむためのサーカスを、プロダクションのレベルを上げて大人の市場にかえて、独自の市場を作ってしまったのだ。(Blue Ocean Strategyの著者も認める典型例)
 気になる人材も、12人のキャスティングチームがオリンピックの特待生をリクルートしたり、ストリートパフォーマ達を世界中から集めている。3000人の社員の内、700人がアーチスト。巨大な本社があるモントリオールの外れで8週間のトレーニングを受ける。そこから巣立ったパフォ−マーの20%は怪我か引退でやめてしまうので継続してリクルーティング活動をしなければならない。その他にも、音楽や衣装なども自らの手で作り上げている。
 ビジネスの面でも、ラスベガスではMGMを筆頭に、日本ではフジサンケイ、アメリカのツアーでは前回ブログで書いたClear Channelと手を組んだり、パートナー選びもちゃんとしている。ディズニーとは日本で2008年までに固定シアターを設立する案もあるし、べガスではビートルズの音楽にあわせた5つ目のショーもはじめるとか。
個人的な感想としては、あまりにもたくさんありすぎると、商業的な面が前にでてしまうので希少価値がなくなってしまう気がするけど、創造面で循環して新しい価値を提供できることが重要なのだと思う。Innovationに興味がある自分としては面白い世界。

参考文献:Fast Company, Jul 2005

Blue Ocean Strategy: How To Create Uncontested Market Space And Make The Competition Irrelevant

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