Sports Venue

 アメリカの大学では最大(107,501収容)と言われるミシガン・スタジアムの改装案が浮上した。2005年以内にどのような変更が加わるか決定するのだが、この一部の内容において学生の間でもめている。Luxury Boxの設置や、一部の一般席用のシートの幅の変更などが含まれているのだが、”大学のスタジアム”という雰囲気を壊しかねないというのが議論の中心にある。
 現状の作りにそれなりの不便さは感じるのだが、なんせ試合中はずーっと立っているのであまりスタジアムを吟味していない。そしてまた、アメリカの昨今のスタジアム建設ブームに対してポジティブな印象があるので、「どっちでもいいんじゃん?」的な意見ではある。
 アメリカでは1992年から今年まで、37つのスタジアムが建設及び大きな改修が行われた。はじまりはOriolesのCamden Yardsからで、レトロチックな作り、街との一体化(それにつながる活性化)、ゲームの近さが好評で一代ブームになっている。 自分も最近建てられたデトロイトのComerica Park、フィラデルフィアのPhillies Ballparkに行ったことがあるが、確かに気持ちがいい。ほとんどの設計に携わっているHOK S+V+Eは、その場所・街との一体化に重点をおき、60、70年代に作られたマルチ目的なコンクリートの固まりとは違う、街のランドマークとなる建設に努めたという。
 しかしミシガン・スタジアムのケースでもあるように、スポーツファンにとって会場はチームの次に大事な物だ。従って、こんなブームの中でもやはり、大幅な変更をしてはいけない場所がある。前にもいったがChicagoのWrigley FieldとBostonのFenway Parkが典型例だ。(Yankee Stadiumはいまいちこの2つほどのオーラを感じない。)それぞれマイナーな改修を行っているがスタジアムの周りを歩くだけで重みを感じる。
 そして日本でも同じような場所がある。最近、甲子園も2008年に改修を予定していることを知った。細かい内容はわからないが、球場の伝統を残しながらバリアフリー対応や天然芝生の整備などを行うということらしい。ちょっと気になるCamden Yardsに影響されたレンガ導入以外は良いことだと思う。ドーム作りをバブル期に考えていたとしたらなおさらだ。この重みを大事にして欲しいし、これ以上にメディアや関係者が聖地として敬意を示すことがスポーツを愛する人の心を掴むと思う。